映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「チェ/39歳別れの手紙」監督スティーヴン・ソダーバーグ at OSシネマズミント神戸

「28歳の革命」に続く第2部完結編。
1965年、キューバ革命政府の閣僚になったチェ・ゲバラは突然辞任、失踪。翌年偽造パスポートでボリビアに入国する。映画では省略されているが史実によるとこの間アフリカのコンゴで革命の指導をしていたらしい。ボリビア軍事政権は、キューバの轍を踏まじと米軍の協力を得てゲバラらゲリラ部隊を追いつめる。圧倒的な兵力の差の前にゲバラも力尽き、囚われの身となる…というお話し。前作が「勝利への道」だとすると今作はひたすらな敗走である。ゲバラは喘息に苦しみ、飢餓からゲリラ兵達の士気は低下、はぐれた部隊はボリビア正規軍に殲滅されてしまう。ラスト、チェの処刑に撃ち手として名乗りを上げる兵士のあの目つき、構成として何の伏線もないが、彼の目にこもった激しい遺恨が、殺戮の連鎖を象徴している。
退屈との評も見受けるが、時代を知るべき重要な映画である。殆ど無名の俳優達に紛れ込むようにマット・デイモンが出ていてちょっとびっくり。