NYからスペイン・バルセロナに降り立ったヴィッキー(レベッカ・ホール)とクリスティナ(スカーレット・ジョハンソン)。ヴィッキーには婚約者がいるが、クリスティナは早速訳ありな画家ホアン(ハビエル・バルデム)に惹かれてしまう。しかし、クリスティナは急病、ホアンに批判的だったヴィッキーがホアンの虜に。クリスティナは恢復後ホアンと同棲。とそこへ自殺騒ぎを起こしたホアンの前妻マリア(ペネロペ・クルス)が転がり込んで来た…というお話し。
開巻、まるで蜂蜜を塗ったような強烈なアンバー色のルック(撮影監督はハビエル・アギーレサロベ)、アレン監督74歳の何か新しい挑戦が感じ取られると思ったら、これまで彼の作品では見た記憶がないスローモーション、そしてベッドシーン(いつもは事前と事後しか描かない)。フアンなるドン・ファンそのものの役名とキャラクター、マリアは「カルメン」か。ユダヤ教の戒律に縛られる自身を皮肉って来たアレンが、スペインの古典を意識し、このカソリックの総本山に身を置くことで、キャラクターと風土に対する憧れを強くしたのではと想像する。ホアンとふたりの女の同棲は谷崎潤一郎の「卍」の匂いが。初期のゴードン・ウィリスを除いて殆どの作品で他国の撮影監督と組み続け、ついにはNYを離れてヨーロッパで仕事をするアレンの「外国志向」のひとつの到達点のような作品。東洋の島国のいじましいコンカツなどこのエネルギッシュな恋するアレンじいさんに嗤い飛ばして頂きたい。
- 発売日: 2013/11/26
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