映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「小さな村の小さなダンサー」監督ブルース・ベレスフォード at Bunkamira ル・シネマ

アメリカと中国が舞台だがオーストラリア国籍作品。実話がベースとなっているらしい。
テキサス州、ヒューストン。レーガン大統領のポスターが貼ってある空港、1981年。ひとりの中国人青年リー(ツァオ・チー)が降り立つ。ヒューストンのバレエ団に招かれた彼は自国の体制とのギャップに戸惑いつつも実力を磨いて行く。そこから遡ること10年前。中国の寒村で彼は共産党本部にスカウトされ、北京の舞踊団で訓練を積む。別にバレエなど興味はなく、辛い修業に涙する夜もあったが、ある指導員の教えにより開眼。しかし折しも文化大革命の時代、過酷な思想統制によりその指導員は逮捕連行されてしまう。リーはアメリカからの使節団によりリクルートされ、国家を背負って旅立つ。数々の舞台に立ってスターへのステップを歩み始めるリー。ヒューストンで出会ったエリザベス(アマンダ・シュル)と恋に落ち、アメリカでの生活に馴染み始めた頃、本国からの帰国命令が下る…というお話し。
ベレスフォードという監督、オスカーも受賞したベテラン実力派だが、この作品に於いては小細工なしの直球、ひとりの青年の運命が国家に翻弄される人生をギュッと凝縮。所々ポーンと話しを飛ばして見せ場を繋ぐ。何より嘘のないバレエを見せるツァオ・チーの肉体がこの映画のグレードを保っている。
文革の嵐に巻き込まれる舞踏家といえば「さらば我が愛/覇王別姫」('93)が想起され、比較するとどうしても全体的に大味な印象と言えなくもないが、ラストはお約束できっちりと紅涙を絞る大団円の職人芸。
戦場のメリークリスマス」('83)のジャック・トンプソンがちらっと登場して嬉しかった。
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