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「恋愛戯曲」監督・鴻上尚史 at シネセゾン渋谷

鴻上尚史「青空に一番近い場所」('93)以来17年ぶりの長編劇映画監督作。自身による戯曲の映画化。
売れっ子脚本家谷山(深田恭子)が、あるテレビ局のスペシャルドラマの脚本を依頼され、高級ホテルの一室で執筆を始めるが一枚も書けない。テレビ局制作部は向井(椎名桔平)というプロデューサーを派遣して執筆を促すものの、谷山は向井と恋に落ちないと書けないと言い出す。一方、テレビ局内では部局間での派閥抗争があり、このスペシャルドラマを失敗させたい陰謀が渦巻いていた。そんな折、編成部から派遣された別のプロデューサー柳原(塚本高史)が谷山に張り付く…というお話し。
谷山が少しずつ書く台本がそのまま映像として現れ、深田恭子がその劇中劇を二役で演じるという趣向。
無理矢理笑わせたい展開に進んで行く為に取り返しがつかなくなる某劇作家監督作品に比べると同じ劇作家出身、鴻上監督のこの作品はくすっと笑わせつつきちんと構成されていて見易い。
深田恭子はこれまでにない勝ち気で突っ張った性格を頑張って演じているが、劇中劇の薄幸そうな主婦が一番フィットしていた。ラストに至ってはワイルダーかワイラーかと想起させる旧き佳きハリウッド調でこの監督の趣味の良さが伺える。

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