映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

「マネーボール」監督ベネット・ミラー at 109シネマズHAT神戸

メジャーリーグ、2002年のオークランド・アスレチックス20連勝に至るチーム改革を球団ゼネラル・マネージャー、ビリー・ビーン(ブラッド・ピット)の視点から描く。ブラッド・ピットはプロデューサーを兼任、脚本は名手スティーヴン・ザイリアンと売れっ子アーロン・ソーキンの共作という豪華さ、この辺がピットの手腕か。
前作「カポーティ」('05)でもそうだったが、ミラー監督は執拗なまでにディスカッションする人物や会話する人物をフィックスの切り返しショットで繋ぐ。決してキャメラを振り回さない。演出は抑え気味の淡々とした調子、アスレチックスの監督役、「カポーティ」でオスカー主演男優賞を獲得したフィリップ・シーモア・ホフマンも抑えに抑えた淡々ぶりだ。こういう全てが好ましく、メジャーリーグの選手間取り引きの実態、日本のプロ野球よりもかなり強力な実権を握るGMの仕事、と初めて知るリアリティにも驚かされ、観ていて本当に心地の良い映画。そして20連勝が目前となるあたりから突然キャメラは動き出し、ラストの素敵なクローズアップが抜群の効き目を発揮している。
単純なサクセス夢物語を紡いで来たハリウッドが頭打ちになっている今、挫折から得る教訓と大きな夢(=成功してリッチになる)より小さな幸せ(=家族、仲間、やりがい)へとランディングする人生を描くことは、企画を温め続けたブラッド・ピットにとって必然なのであろう。
佳作、お勧め。

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