映画和日乗

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「わが母の記」監督・原田眞人 at 神戸国際松竹

井上靖の実母について書かれたいくつかの小説を束ねて原田眞人監督が脚本化。積年の企画が遂に実現した。
素晴らしいキャメラ(撮影・芦澤明子/照明・永田英則)、この手の文芸ものにありがちなどっしり、延々な退屈カットはひとつもない。そして美しい。計算され尽くしたリズミカルな台詞に呼応する編集(編集・原田遊人)。恐らく井上靖自身の書斎を再現したと思われる精緻且つ豪華なセット(美術・山崎秀満)。
そして樹木希林の老境の演技はお家芸と言っても誰も異を唱えないだろう。
この映画は技巧の極地を見せる畏兄原田眞人監督の演出のひとつの到達点だと思う。あの八重(樹木希林)の、息子(役所広司)の子供時代の作文をそらんじるクライマックス、唸る。
キネマ旬報5月下旬号の特集記事によると小津安二郎の影響下にあるとのことだが、松竹のそれより東宝市川崑の匂いが微かにしたのは私だけか。
劇場は超満員、こういう企画で大ヒットは心底めでたいと思う、傑作、お勧め。

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