映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

ルビー・モレノさん

 

ルビー・モレノさんの出世作「月はどっちに出ている」('93)を、この「フィリピンパブ嬢の社会学」の撮影に入る前に再見した。

 

 

何も畏敬する故崔洋一監督を越えようとかそういう事ではなく、在留外国人と日本人を対等に描くこと、彼ら彼女らのバイタリティと明るさを全面に押し出すこと。

そういったファクターを再確認したかった。

当時「月はどっちに出ている」は制作も配給も及び腰で、なかなか実現しなかったのは「フィリピンパブ嬢の社会学」と同じだ。

他民族が深く内容に絡むと、それもリアルな描写があると日本の映画人は腰がひけるのは、30年前から変わっていないということを今度は我が事として再認識しなければならなかった。

在留外国人の数は爆発的に増えているのに、当の日本(映画)人の意識は旧態依然なのだ。 

 

奇しくも2月9日付の朝日新聞に載ったインタビューで私が「月はどっちに出ている」のことを語っている。

なので、このルビー・モレノさんのコメントを読んで、素直に涙腺が緩んだ。

 

少なくとも私が描いたことは間違っていなかった。どんなに忌避されようが、タイトルも内容も変えるつもりは毛頭なかった。

モレノさんありがとう。

 

「フィリピンパブ嬢の社会学」は2月17日(土)より新宿K's Cinemaで公開。

連日イベントやトークショーがあります。

ご来場をお待ちしております