映画和日乗

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「スティルウォーター」監督トム・マッカーシー at TOHOシネマズシャンテ

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 スティルウォーターはオクラホマ州の地名。イーストウッドが幻想としてのアメリカの田舎町を描いていたのに対し、こちらはリアルな、過疎と不景気に苛まれている田舎町。

 ビル(マット・デイモン)はその不景気の影響をモロに受けているエンジニア。娘アリソン(アビガイル・ブレスリン)はフランス・マルセイユにいて長く会っていない。

 失業し時間があるビルはマルセイユへと向かう。娘は殺人の罪で刑務所に入れられていて、無実を訴えている。

 無実を晴らすべくビルは何らツテのないこの町である証人を探そうとするが、悪戦苦闘するというお話し。

 ビルが愛と正義の人ではないところがミソで、よく言えば不器用、悪く言えば凡庸。一方、マルセイユの人々は一様に余所者に冷たく、特に若者はギスギスしていてこの町もまた格差社会の断面を見せつける。

 ビルは、舞台俳優の親子との出会い、娘の仮釈放によって疑似家族関係を築くまでに至るが、凡庸故の悲しさから早とちりな行動に出てしまう。その賢いとは言えない行動は案の定破綻、意外な事実も判明して苦い結果を招く。

 ミステリーサスペンスとして盛り上がる要素はそう大きくはない。

 製作者の力点はそこにはなく、アメリカであろうがフランスであろうが刻々と変化する社会とそれについて行けない人間との噛み合わなさを淡々と描いている。

 ラスト、故郷スティルウォーターに帰った親子を田舎くさい歓迎の儀式で迎える町。

変わらないねと呟く娘。いや何もかも違って見えるという父。

 そのどちらもが正しく、人生の幸福というものが形ある分かりやすいものではない事を示唆している。

  トム・マッカーシー監督自身のオリジナルシナリオ(共作)とクレジットされていたが、アマンダ・ノックスという人が自身の体験をモデルにしていると憤っているらしい。

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確かに事件のあらましを読むとヒントにしているように思える。

アマンダ・ノックス | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

↑こんなのもあった。

それはともかく、佳作。お勧め。