映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ボックス!」監督・李闘士男 at TOHOシネマズ西宮OS

 百田尚樹の同名小説の映画化。
 大阪、恵美須高校拳闘部にカブ(市原隼人)という滅法強い男が入部して来る。先輩を圧倒する実力に女子マネージャー(谷村美月)もひと目惚れ。そんなある日、東京に転校していたカブの幼なじみユウキ(高良健吾)が大阪に戻って来た。カブとは正反対の優等生タイプだが、カブに勧められて拳闘部に入部。力は弱いが練習熱心で理論派、徐々に力をつけて行く。一方天性だけのカブは、ライバル校の「栄養ドリンク」とあだ名される稲村(諏訪雅士)に負け、ショックで拳闘部を退部してしまう。そんな折、献身的にカブを応援していたマネージャーが病死してしまう…というお話し。
李監督の「デトロイト・メタルシティ」('08)、「てぃだかんかん」('10)は未見だが、本作はデビュー作「お父さんのバックドロップ」('04)の延長線上にあるという気がしてならない。
 ジャンルとしてのボクシング映画というのはある程度の「お約束」があって、挫折とカムバックとリターンマッチの組み合わせであると言うと乱暴過ぎるかも知れないが、本作は実に多様にして多彩な試合を丁寧に描くことで「お約束」に収斂していない点が最大の魅力。何よりひとつひとつのリングファイトのシーンへのリキの入り様は李監督のパッションそのもので実に清々しい。
 市原隼人大阪弁は70点だけれどよくぞここまで役になり切れたと拍手を送りたい気分。そして宝生舞のおかん、ベストアクトでしょう。佳作、お勧め。
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