1969年東映作品。
脚本は笠原和夫、中島監督との共同執筆となっているが「昭和の劇」(太田出版)によると殆どを笠原氏が書いているとのこと。桜田門外の変に始まり、2.26事件の将校処刑で終わる、近代暗殺史。笠原氏の綿密な調査ぶりは「昭和の劇」に詳しく、それはこの映画を骨太のものにしていることは言うまでもない。中心として描かれるのは1932年の血盟団事件。テロリスト小沼正(千葉真一)の行動が丁寧に描かれる。ヒエラルキーの固定による貧困からの脱却の不可能を悟り、宗教的陶酔感からの殺人へと至る過程が近代史のダークサイドとして非常によく分かる構成。この頃の藤純子(今の富司純子)って上戸彩にも石原さとみにも見える。日本型大衆スターの原型を見た思い。
- 作者: 笠原和夫,スガ秀実,荒井晴彦
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2002/10
- メディア: 単行本
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