映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「マップ・トゥ・スターズ」監督デビッド・クロネンバーグ at テアトル梅田

ハリウッドでリムジン運転手をしていたブルース・ワグナーが原案・脚本。
ロバート・パティントン演じる運転手は俳優・脚本家志望。その彼が一人の女性アガサ(ミア・ワシコウスカ)をリムジンに乗せるところから物語は始まる。芸能ミーハー丸出しの知性の感じられない会話。が、彼女はキャリー・フィッシャー(本人が演じる)の紹介でハヴァナ(ジュリアン・ムーア)という、それなりのスターの秘書となる。で、このハヴァナはかつての美少女女優の娘。火事で焼け死んだというこの母親の幻影に悩まされているが、この母親の自伝的な映画のオーディションの話が来ている。一方、子役上がりのティーンエイジタレント、ベンジー(エヴァン・バード)の日常が描かれる。アホで我儘し放題なのだがこの父親(ジョン・キューザック)が怪しげな整体師兼マインドセラピスト。ハヴァナが顧客でもある。やがてアガサがベンジーの姉であり、かつて弟を襲って火まで放った過去がわかる…と、一見関係のなさそうな話がやがて繋がっていく構成。
虚飾、虚栄心、空疎、孤独。ハリウッドに対する底意地の悪い視線を向ける脚本を、フィックス画面で更に突き放すようなクロネンバーグ演出。堂々たるスターである筈のジュリアン・ムーアが、まるでハリウッドで生き残る為にはここまで露悪的に見せていかないといけないのよ、と言わんばかりの曝けっぷり。悔しかったらこの役やってみなさい私以外に誰がやれる?という血走った眼。
ハリウッドという病に冒された人々をクロネンバーグは誰一人救わない。この場所の不健康を避けカナダでパラノイアな人間を描く映画をつくり続けている。


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FM COCOLO「Saturday Afternoon Delight」の録音。1月17日オンエア。


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