まず最初に、この邦題は犯罪級の詐欺タイトルであることを断っておく。白書、など全く意味していない。
ピッパ・リー(ロビン・ライト・ペン)は相当歳の離れた夫ハーブ(アラン・アーキン)と暮らしており、2人に間には双子の息子娘がいる。息子は弁護士を目指しNY暮らし、娘は戦場キャメラマン。ハープは出版社経営をリタイアすると宣言して隠居暮らし。周囲には同じような境遇の豊かな人々が暮らすが、そこへ放蕩していたクリス(キアヌ・リーブス)という男が帰郷する。ピッパは夜中にキッチンで食べ散らかした記憶が消えていたり、幻覚を見るようになるが、そんな彼女にクリスは優しく接する。ピッパは自分の人生を思い起こすことで自己分析を始める…というお話し。
監督のレベッカ・ミラーは脚本(オリジナル)も兼任。ピッパの独白で綴られる構成は、ミラー自身のパーソナリティが投影されていることは想像に難くない。この、どちらかというと淡々と地味な作品(恐らく低予算で、資金集めには苦労しただろう)に、キアヌを始めジュリアン・ムーアがノーメイクで出演したり、イタリア女優のモニカ・ベルッチが登場したりする意味は深い。彼等が、近年の金太郎飴型ハリウッド作品に辟易し、このようなパーソナルな脚本に採算度外視で出演したかったのだと思われるからだ。
ピッパの若い頃を演じていたブレイク・ライブリー、どこかで見たなと映画を見ている間中気になっていたが「旅するジーンズ」シリーズのコなんだね。好演。女性向け佳作。