映画的日乗

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「彼女の人生は間違いじゃない」監督・廣木隆一 at シネリーブル神戸

東北大震災を扱った映画はドキュメンタリーを中心にそれこそ星の数ほどある。その中で廣木監督自身が執筆した小説として先行していたという本作のこのタイトルが潔い。

冒頭、早朝と思しき林道の、正面からのロングショット。車のヘッドライトに浮かび上がる、数十人の放射能防護服姿。場所も状況も瞬時に認知できる秀逸なショット。そこから、いくつかの、報道などで見知ったエピソードを纏った登場人物の日常が描かれる。被災地から東京に風俗嬢やアダルトビデオの出演者として働きに出る女性について、何かの記事で読んだ記憶があった。恐らく、廣木監督は一つ一つ、一人一人のバックボーンやエピソードを丁寧に取材したのであろう。

キャメラは人物のアクションに対して追いかけるように動き、捉える。待ち構えたところで人物が入って来て動き出すというフィクション性を排除する事で誠実にエピソードに向かい合う。また反対に出来事が動かない時点ではロングショットで定点観測のように構える。

彼女(瀧内久美)の、東京でも福島でもそこにいる居心地の悪さから解放されたような、長距離バスの中の表情を執拗に捉えるキャメラは語る。人生は間違いじゃない、がこのままで良い筈はない。勝手な解釈かもしれないが。

勝手な解釈ついでだが、ラストの震災直後のビデオ映像、廣木監督自身が回したものなのではないか?全篇のどこかにそれを挟むのではなく最後の最後に入れた、その強いこだわりを感じる。違っていたらごめんなさい。

 

 

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