映画和日乗

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「白いトリュフの宿る森」監督マイケル・ドウェック&グレゴリー・カーショウ at シネリーブル神戸

www.sonyclassics.com

 イタリア北部ピエモンテ州のトリュフ採りプロフェッショナルを追ったドキュメンタリー。

 原題は邦題ほどロマンティックではなくズバリ"The Truffle Hunters"、監督はアメリカ人の様だ。

 冒頭の美しく紅葉した森を俯瞰で捉える映像から引き込まれるが、その後、キャメラは殆ど動かないフィックス、バルビゾン派の絵画の如くきっちりと構図が決まった人物配置でトリュフ・ハンター達を捉える。

 そうかと思うといざトリュフ採りになるとハンターの大切なパートナーである犬達の頭にゴープロのようなキャメラを着けて、犬の目線で動いて行く。

 犬はともかく、ハンター達は自然に動くというより、映像の画角に製作者の計算通りに捉えられていて、これを果たしてドキュメンタリーと呼ぶのかどうか疑問だ。いや、否定しているのではなくそういう表現も画期的である事は自明である。あくまでジャンルとしての呼び方の問題である。

 トリュフが食べ物としてどういうものなのか、という部分は殆どなく(ラストに有り難そうに食する紳士のショットのみ)、希少な白トリュフハンターとパートナーである犬達との厚い信頼関係と友情が中心に描かれる。

 老ハンターが「自分が先に死ぬ」と犬に語りかける会話は時に切なく、また卑怯者が森に撒く毒餌で死ぬ犬の飼い主たるハンターの怒りの涙は同情を禁じ得ない。

 もうトリュフ採りは危険だから止めて、と懇々と妻に説教される老ハンターは言う。「夜の森のフクロウの声が好きなんだ」。エンディング、彼がまるで親に内緒で夜遊びに出かける若者のように、窓から抜け出す様が微笑ましい。それがホントにドキュメントなのかどうかは置いといて。

 エンドロール、席を立たずフクロウの声に耳をすませば