映画的日乗

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「英国総督 最後の家」監督グリンダ・チャーダ at シネリーブル神戸

www.imdb.com  監督のグリンダ・チャーダという女性、本編の最後にその出自が明かされる感動的なエピソードがあるのだがIMDbのデータベースによるとアフリカ、ケニア生まれでロンドン育ちという経歴。つまり、この映画に描かれるインド独立、パキスタン独立による民族流転の歴史の先に更なるドラマがあったのではないかと想像するがそれは映画とは関係ない話。

 インド独立に当たって最後の英国総督マウント・パッテンが夫婦で赴任する。広大な総督府で犬の餌として出されるチキンを摘み味わう夫人。1947年という戦後間も無くの時代、ロンドンが食料難だったことをさりげなく見せるセンスは秀逸。だと思ったらこのあと延々と続くインド統一派とパキスタン独立派の主張をひたすら説明的に見せてしまい、NHKの「その時歴史は動いた」の様相。ヒンズーとイスラムの宗教を違えた恋も絡むが大時代的ロマンス調。宗教闘争の果ての虐殺はニュースフィルムで見せ、キャメラはとにかく総督府から出ない。近年のBBC制作の歴史ものの製作パターンで、なかなかかの国も予算的に厳しいのだろうと想像する。が、一転パキスタン領からインドに流入したヒンズー教シーク教徒の難民キャンプのシークエンスはリアルな悲壮をきちんと描いている。なるほどここにお金をかけたんだな。

 ガンジーの挫折、スターリンの野望を見越したチャーチルの策謀などインド近代史を識るには絶好の映画であった。