映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「8月のクリスマス」監督・長崎俊一 at シネカノン神戸

'99年公開の同名韓国映画のリメイク。長崎俊一、といえば今やすっかり髪も白くなったが
僕の学生時代のスター監督だった。特に「映子、夜になれ」('79)と「闇打つ心臓」('82)
には心底この才能に打ちのめされた覚えがある。その長崎監督6年ぶりの新作、
オリジナル版に忠実なシチュエーションだが、ダイアローグはいかにも長崎監督(脚本兼任)
らしく、ナチュラルな哀愁が感じられる。不治の病に罹っている山崎まさよし
その病名は劇中では明かされず、それが却って彼の一挙手一頭足に薄い死の影がつきまとう。
 落ち着いたルックもオリジナル版の雰囲気そのまま、富山県高岡市(劇中では富陸市という
架空の町になっている)のロケーションもひんやりしてベタつかない美しさが冴える。
山崎まさよしは言うに及ばず、関めぐみを初め役者はみんな素晴らしい。佳作、お勧め。