映画和日乗

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「隠された記憶」監督ミヒャエル・ハネケ at シネマート銀座試写室

舞台はフランス、パリ。TV番組の司会者(ダニエル・オートゥイユ)一家に届けられる1本のビデオテープ。
そこには彼の家の外観が延々と写されている。日を置いてまた届けられるビデオテープ、今度は意味のよく分からない絵が添えられ、またしても彼の家の様子が写っている。そして次に届いたテープには、彼の生家が写っていた。
司会者はふと思い当たる。幼少期に虐めた、ひとりの外国人のことを…というお話し。
ワンシーン・ワンカットを多用しているのに並みのホラーよりよっぽど怖い。お化けも怪物も出ないのに、何者かに見られている、そしてどす黒い忘れたいような過去に触れられる気持ちの悪さこそが恐怖であるという斬新さに驚嘆した。
やがて試写室では悲鳴が上がった、衝撃のシーンへと連なり、あげく観る者を混乱させる展開となる。
全ては計算ずくで緻密な画面設計と編集は今年随一の傑作。怖いです、覚悟してご覧下さい。

隠された記憶 [DVD]

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