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「イントゥ・ザ・ワイルド」監督ショーン・ペン ay TOHOシネマズ梅田

同名のノンフィクション小説の映画化。'90年代初頭、成績優秀で大学を卒業した青年クリス(エミール・ハーシュ)は、物質文明や消費社会を嫌悪し、名前を変えて一銭も持たずにアメリカ大陸を放浪、アラスカでの自給自足生活を目指す。道中での出会いや別れを繰り返し、やがてアラスカに到達、何故か放置されていた廃バスの中で生活を始めるが…というお話し。尾崎豊「モーターサイクル・ダイアリーズ」('04)のチェ・ゲバラかというナイーヴさはそのままショーン・ペン自身に重なる。奇しくも撮影監督は「モーターサイクル…」のエリック・ゴーティエ。いや、奇しくもではなくあの映画を観てのペン監督の指名なのだと推測される。これまで一貫して他者とのコミュニケーションに純粋でナイーヴな関係性を求めて来たペン監督、今回は以前にも増してリリカルな映像で「永遠の青春」を押し通す。その強靭な「変わらなさ」は見事でもある一方、彼クリスへの手放しのシンパサイズぶりは観る人によっては「ついていけない」かも知れない。とまれ、力作。中学生の時に観た「ミッドウェイ」('76)「ジュリア」('77)の名傍役ハル・ホルブルック(83歳)がお元気そうで嬉しかった。

イントゥ・ザ・ワイルド [Blu-ray]

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  • 発売日: 2013/07/02
  • メディア: Blu-ray