映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「南極料理人」監督・沖田修一 at シネリーブル神戸

南極というとかの「南極物語」('83)で舞台となった昭和基地が即座に思い浮かぶが、この映画の舞台は昭和基地から1,000キロ離れたドームふじ基地Wikipediaによると、氷床深層掘削計画が実施されているとのことだが、それは映画にも出て来る。しかしこれは「南極物語」のような壮大なヒューマンドラマとは全く対局で、むしろ「刑務所の中」('02)に近い、いじましくも微笑ましい男達の物語である。さて、予備知識はこれぐらいであとは無心でご覧になることをお勧めする。こんなに笑った映画は久しぶりだ。
フィックスのキャメラフレーミングを多用し、基本的にワンシーン・ワンカット、時にマンガのコマ割りのような静止的映像を駆使し芝居の間合いで可笑しみと哀感を醸し出した沖田監督、今年の新人賞だろうなぁ。堺雅人、演技の引き出しが多いことに感心させられた。
食にこだわった反面、もうひとつの煩悩は宮崎美子のピンナップ以外スパッと切られているのを批判したいところだが、それは無い物ねだりか。
佳作、お勧め。

刑務所の中 特別版 [DVD]

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