映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「17歳の肖像」監督ロネ・シェルフェグ at シネリーブル神戸

 1961年のロンドン。規律の厳しい女子校に通うジェニー(ケリー・マリガン)はラテン語を除いて成績優秀。チェロを弾き、煙草を吸うくらいのワルさはするが門限の厳しい家と学校の往復の日々。学歴コンプレックスのある父親(アルフレッド・モリーナ)の言いつけでオックスフォード大学を目指している。が、ある日ダンディで知的なデイヴィッド(ピーター・サースガード)にナンパされる。父親が許すはずのないデートもデイヴィッドの巧妙な話術で懐柔、どころか両親は彼を気に入ってしまう。デイヴィッドの妖しい魅力に引きずられ、大人の世界を知ったジェニーは学校の警告に反発、デイヴィッドのプロポーズを機に退学してしまう…というお話し。
 まず50年前の英国の雰囲気をたたえた清潔感溢れるキャメラが良い。
 原題は「An Education」という身もフタもないものだが、映画を見終わるとその二重三重の意味に気づかされる。ヒロインが大人への階段を急ぎ足で駆け上る経験と、その反動でケガをしてしまう苦い教訓というEducation(教育、というより体験的学習か)。
また、学歴コンプレックスがもとでデイヴィッドの振りまく教養にすっかり参ってしまい、娘を傷つけてしまう結果となる父親のEducationは、低学歴による英国社会のヒエラルキーの固定が招いた悲劇と、彼がこの経験によって受けた教訓の両方を指す。また、この当時いくら名門大学を出ていても女性は社会進出する機会が限られていたこともしっかり描かれており、ヒロインが教師に対して「(女子の)学歴が一体何の役に立つのか答えを用意しておくべき」という台詞もまた突き刺さる。
ことほど左様にEducationを巡る多面体の意味性を描き込んだ脚本、監督は見事。
 少女の青春はいつでも甘く、危うく、そして苦いものというオーソドックスさも清々しい。佳作。
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「神戸フィルムオフィス」田中まこ姐の案内で神戸市内某所、ある映画の撮影現場を見学。