映画和日乗

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「RAILWAYS 49歳で電車の運転手になった男」監督・錦織良成 at 国際松竹

錦織監督が島根を舞台につくる映画の第3弾。
前作「うん、何?」('08)が製作から公開まで時間がかかっていて、その苦労が忍ばれたが今回は東宝系ヒット作を連発するROBOT社が製作、スケールも一段アップしている。
前半、企業戦士として冷徹な横顔を見せる筒井(中井貴一)を常に逆光でとらえるキャメラ(撮影・柳田裕男/照明・吉角荘介)が実にシャープ。やがて、自分の人生を見つめ直し故郷・島根県出雲に戻って電車の運転手になろうと決意するあたりから暖かみのある軟調へとランディングする計算が成功している。
キャスティングもドンピシャリで全て良い。三浦友和の息子、三浦貴大もその硬さがかえって成功している。ゆったりとしたキャメラ、どっしりと落ち着いた演出、今こそ必要な日本映画の王道である。劇場は中高年でいっぱい、狙いは外れていないということだろう。
傑作、お勧め。