映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「現代やくざ 血桜三兄弟」監督・中島貞夫 at シネマヴェーラ渋谷

1971年東映作品。
「現代やくざ」とは菅原文太主演のシリーズ物で、かの「仁義なき戦い」('73)で確立する実録路線までの前哨戦というか、ここでは試行錯誤的なテイストがする。登場人物のキャラクター造形がかなり特殊で過剰。分り易い四角四面な任侠ヤクザは伊吹吾郎だけで、その兄菅原文太は大学出にして喫茶店のマスターで胃ガンで余命僅かでクラブのママの恋人がいる一匹狼ヤクザ。もの凄くいろいろ背負っているのだ。更に吃音で足を引きずり女性経験が無くて競馬が強くて組織に入りたがる「もぐら」なる男(荒木一郎)と、年下なのにその兄貴分できつい大阪弁を話す競馬のノミ屋ヤクザが渡瀬恒彦。この四人が関西の大組織から岐阜柳ヶ瀬に乗り込んでシマ荒らしをするこだわりダンディズムでリボルバーとワルサーの2丁拳銃を振り回す小池朝雄を狙う。更には首に痣のある花売り娘やら、文太を裏切ってあっさり小池の情婦になる松尾和子ママやら各々あり得ないほど何重にも鎧の如きキャラクター設定を背負っているので話しの筋は単純なのにエピソードは豊穣、という奇妙な味わい。監督以下スタッフがヤクザ映画としての定形を崩そうとひねりにひねって変化球勝負しているかのようだ。ラストの火炎瓶攻撃するヤクザというのも「時代」なんだろうな。そしてそこへリフレインするのが野坂昭如の「マリリンモンロー・ノーリターン」というのも…過剰なまでに、ヘン。


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