映画的日乗

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「ゴーストライター」監督ロマン・ポランスキー at シネリーブル神戸

 ロバート・ハリスの小説「ゴースト」の映画化。大河ドラマが続いたポランスキーが久しぶりに手掛けるミステリー、冒頭のフェリーから降りない1台のBMWの見せ方から一級の腕前を発揮、いや流石に巧い巧い。
そのフェリーが着く重く垂れ込めた雲に覆われた島が舞台。アイルランド?と思ったが「キネマ旬報」9月上旬号の特集によるとマサチューセッツ州マーサズ・ヴァインヤード島とのこと。尤もそれは舞台設定であって実際の撮影はドイツ北部のジルト島で行われた。それもそのはず、ポランスキーは現在米国に入国出来ない身分である。
 とまれ、避暑地の島のオフシーズン。そこに元英国首相ラング(ピアース・ブロスナン)とその妻ルース(オリヴィア・ウィリアムズ)一行が滞在している。そこへやって来たのがラングの自叙伝の執筆を依頼されたゴーストライター(ユアン・マクレガー)。それも前任者が怪死した為にその仕事を引き継ぐというのが役目。早速前任者の書いたものを読み始めるが凡庸なもので、改めてラングにインタビューをするもあれもこれも書くな、ときちんと過去を語りたがらない。折しもラングにCIA絡みの戦争スキャンダルが発覚する。ラングはマスコミや反戦団体の抗議を逃れる為にワシントンへ逃亡。ゴーストライターはルースと共に島に取り残され、ラングの過去を調べ始める。すると経歴に矛盾があることがわかり、同時に彼は命を狙われる…というお話し。これ以上は劇場で。
 作劇上のトリックはなく、伏線も目立たない。観客はゴーストライターと同じ心境でこの陰謀の解明に臨むという仕掛け。ポランスキーは細部まで凝った映像設計、絶妙のキャスティング。島の邸宅のデザインも妖しいハイセンス。元首相夫人ルースを演じるオリヴィア・ウィリアムズが素晴らしい。ポランスキー映画はいつも女優が輝く、それも妖しく艶かしい、これもこの人一流。
 クライマックスのメモの手渡しはヒッチコック調、そしてこれぞ映画「見せないで感じさせる」ラストシーンまで最上のテクニック。
 佳作、お勧め。
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