映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ビフォア・ミッドナイト」監督リチャード・リンクレイター at Bunkamura ル・シネマ

伊丹空港よりNH22便で羽田空港着。品川区内某所で桜井徹Pと映画企画打ち合わせ。

Beforeシリーズ第3弾。
今回の舞台はギリシャペロポネソス半島。作家として成功したジェシー(イーサン・ホーク)と夫婦(事実婚的)となったセリーヌ(ジュリー・デルピー)。二人の間には双子の女の子の子供がいるが、ジェシーには前妻との間に男の子がいる。映画はこの男の子とジェシーの足下を映すところから始まる。男の子を前妻の元に帰した後、セリーヌと子供達が待つ車に乗り込むジェシー、ここからほぼ10分近くノーカットで例の延々と続く二人の会話が始まり、我々はまた「あの二人」の前作からの空白の9年を推し量るという無類の愉しみに浸る。脚本はリンクレイター監督と共演者二人の共作とクレジットされているがアドリブは一切無いらしい。ということはこの三人の呼吸が見事に合っているということ、監督経験もある二人の俳優の力量がハイレベルであるということ。テータによるとキャメラはHD、フィルムかと見紛う質感も見事。1作目のウィーンから2作目のパリ、そしてギリシャと同じ種の葡萄を違うテロワールで育み、そして年月を経た極上のワインの如くだ。リンクレイターという人は失礼ながらこのシリーズと他の監督作品とでは全く品質が変わってしまう。コッポラの「ゴッドファーザー」シリーズみたいなもので作家と題材のマリアージュがドンピシャなのだろう。ひと言で言うと「趣味が良い」。
さて、4作目はあるのだろうか?次は50歳代か。傑作。お勧め。1、2作目を観ていない方は予習を是非。



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