週刊誌、テレビ報道の粗雑さと思考停止いや無思考ともいうべきアーパーぶりを嗤いつつ(フジテレビのバラエティ班の馬鹿っぷりは暗澹たる気持ちにさせる)その被害者に一見見えてしまう佐村河内氏。が、アメリカから来たさすがにディベートに長けた知性を備えた記者の登場でその一見が一瞬にして崩れて行く瞬間のスリルに息を呑む。ラスト、キーボードに向かう彼の真摯ぶりからこの映画は更にもう一枚ベールを剥がして行く、その時間の熱量に感嘆した。
非倫理的犯罪でもないことに寄ってたかって正義の鉄槌を打ち下ろしたがる低俗、更にはこれ幸いとショーバイに結びつける品性下劣に対する警笛でもあり、嘲笑でもあり、怒りでもある。必見。