新春ニッポンの喜劇映画セレクションの一本。
1955年大映京都作品。
昨夜放送されたNHK「ファミリーヒストリー」で堺正章が父堺駿二がほとんど鎌倉の自宅に帰って来ず、京都の撮影所で仕事をしていたと語っていたが、時代劇のみならずこうした現代劇にもコメディリリーフとして登場していたことが如実に分かる。
大阪の天下茶屋商店街が舞台だがこれはオープンセットだろう、今では考えられない。話は13人の子沢山夫婦のドタバタ、他愛は無いが花菱アチャコと浪花千栄子の絶妙で笑わせる。堺駿二はちょっとエキセントリックな役どころ、13人兄妹の中の一人に中村玉緒(この時16歳)、何故か唐突にマンボを踊り歌う。もともとラジオドラマだったという「お父さんはお人好し」、時代からすると映画というよりバラエティショーの意味合いが強いようで、エンディングにトニー谷がこれまた唐突に雪崩れ込む(そして何故かノンクレジット)。相手が益田喜頓、しょうもないコントだがこれも時代だ。時代と言えば復員兵の情報番組、名前を呼ばれた人は復員してくるというもの。戦後10年、シベリアや中国で抑留されていた辛酸は微塵も語られはしないが、それはまた別の話しといったところだろうか。