映画和日乗

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「銀平町シネマブルース」監督・城定秀夫 at 塚口サンサン劇場

映画『銀平町シネマブルース』公式サイト

 

 スピルバーグの「フェイブルマンズ」、サム・メンデスの「エンパイア・オブ・ライト」を観た後だけに、我が国の「映画愛もの」のスケールの貧しさには悲哀を通り越してひたすらに嘆息となる。

 業界で評判の城定監督の作品を初めて観た。なるほどダイアローグのやり取りのテンポに面白さはある。が、ホームレス(宇野翔平)は登場するなりこれは死ぬなと予測がつき、ホラー監督(小出恵介)と映画館主(吹越満)は借金に喘いでるらしいが、督促も借金取りも現れず設定としてそれ、要るのかと思ってしまう。

 更には映画館主の前職がご都合丸出し。もう開き直っているとしか思えない安直。あの前職なら全て何とかなって映画は30分で終わるはずだ。

 また「カサブランカ」('42)の映像使用権が切れていて無償で使えるのは良いとして、それ以外は学生の自主映画並みの作品というのもやれやれである。全く笑えないのによく笑う観客というのもどうかしている。「映画って良いな」が伝わらん。これはみんな集まって楽しいな、である。

 貧困ビジネスのエピソードがあるが(浅田美代子の衣装もなんだかなぁ)金のないこの企画そのものが貧困ビジネスに見えて仕方がない。