映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「LBJ ケネディの遺志を継いだ男」監督ロブ・ライナー at シネリーブル神戸

LBJFILM

 邦題はネタバレだな。これを隠しといた方が良いのに。

 「ダラスの熱い日」であるJFKことケネディ暗殺の一部始終の間にLBJことリンドン・ジョンソンという男の野卑ぶりを印象付ける過去を挟む構成、ロブ・ライナー監督その辺はソツなく、巧い。先日観た「英国総督 最後の家」に比べると会議シーンの演出は雲泥の差、流石のさばき様だ。南部テキサス出身(演じるウディ・ハレルソンも同じだそうだ)初の大統領となるのは、その暗殺の結果であることは自明なのだが、ここからこの野卑で垢抜けない男が豹変する。いや、決して洗練に向かうという意味ではなく、泥臭い政治家としてリアリストぶりを発揮するのだ。時代の変わり目を感じ取り、自らの信念を封じ込め「ケネディの遺志」の名の下に議会を纏め上げる展開は見応えがある。が、一方「ベトナムの質問は聞きたくもない」と逃げ映画そのものもそこからは逃げる。ジョンソンさん、毀誉褒貶あるけどなかなかええ人やん、で終わるのだ。マクナマラとの対峙は「この後の話」ということになる。

 が、しかし。肝心なのはそこではないとライナー監督以下この映画に携わった全てのクリエイターは言いたいはずだ。南部の公民権法案反対派の議員に「あんたは(尊敬すべき先輩だが)差別主義者だ」と喝破するジョンソン、その下ネタをどうしても言ってしまう品性の一方ケネディファミリーに見下されても歯をくいしばって耐え国難に立ち向かうバイタリティ。そう、今のあの人に比べれば彼がどんなにか堂々たるアメリカ大統領であったか、という事が切々と伝わって来るのだ。