映画和日乗

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「息子のまなざし」監督・ジャン=ピェール&ルック・ダルデンヌ atテアトル梅田

原題"Le Fils"は「息子」の意。これが何故「息子のまなざし」になったのかは、映画が始まってすぐに分かる。
少年院を出所した人々に対する職業訓練更正学校で木工を教える男(オリヴィエ・グルメ)、キャメラは常にこの男の後頭部あたりに貼り付いているかの如く「後ろからの視線」であり続けるのだ。
ある日、この男は新入りの少年が、数年前に自分の息子を殺した人物であることに気づく。
「復讐」か「更正」か。男は、溶接クラスに馴染めないでいるこの少年を自らの木工クラスに招じ入れ、訓練を施すが…。
ぐらぐらと揺れる「後ろからの視線」は観る者を常に不安にさせる。
また、ドキュメンタリーのように、フレームの外でふいに起きる出来事に、時間差でキャメラが追う為、更に不安感が増大する。
殺された息子の姿が、写真1枚出ることも無く、ひたすら男と、別れた妻と、殺した少年の間だけで語られているだけなのに、それぞれに重い棘であることが伝わって来る。特異なスタイルの演出に、観ていてかなり疲れる。息が詰まるほどの力作。

息子のまなざし [DVD]

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堂島「フレックス・インターナショナル」で映画企画会議。

スタッフと、