映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「HARUKO」監督・野澤和之 at 第七藝術劇場

春子、ことチョン・ビョンチュンさん87歳、済州島出身の在日朝鮮人1世。
彼女の波乱に満ちた人生を辿るドキュメンタリー。ほかの一代記と一線を画すのは、この女性の息子が、嘗て映画キャメラマンであり、朝鮮総連の広報映画を撮る合間に、40年前前後からこの女性とその一家をフィルムに撮り続けていたという点だ。
これは本当に凄い。
何せ、1960年代当時違法であったパチンコの景品買いを新宿のガード下で営む姿、百人町のアジトに警察に踏み込まれ連行される姿、さらに警察から釈放されて子供達が出迎える姿、それら全てを実の息子が撮影しているのである。
それでかどうか、現在の彼女の姿を捉える
デジタルビデオの映像にも全く臆することがない。
息子が営む焼肉店の従業員が不法滞在で捕まった時、オロオロする息子を尻目に、自ら新宿警察署に出向き、2時間でその従業員を引き取って来る姿は圧巻だ。
そして「ケーサツは縁起が悪い」と塩まで撒くのだ!
この女性の人生を言葉で形容するのは空しい。観終わって何故か元気になれる。お勧め。

HARUKO [DVD]

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