映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ある殺し屋」監督・森一生 at OSシネフェニックス

1967年の大映作品。「市川雷蔵祭」の一環としての上映に駆けつけた。というのも、
二度程テレビオンエアで観ていた作品だが、ニュープリント劇場上映ということで
この傑作を再確認したかったのだ。雷蔵+監督・森+脚本・増村保造+撮影・宮川一夫と、
当時の大映京都撮影所の4番バッターの集結。昼は料亭の主、夜は殺し屋、という貌を持つ
男(雷蔵)、拾った女(野川由美子)、男を慕うふりをして近づいて来るヤクザ(成田三樹夫)
…墓場を望むボロアパートの二階に集った3人が計画する「仕事」とは…というお話し。
時系列をばらばらにして観る者を幻惑する構成は、最近では「21g」で使われていた手だが、
38年前のこの作品の大胆な省略に舌を巻く。そして、シネスコサイズでアパートの一室を描く
宮川一夫のほれぼれするキャメラは、
テレビ画面やスクィーズされたDVD・ビデオソフトではちゃんと判らないのだ!
限定されたセット空間でのあの立体感を出せるキャメラは、どんな映画に於いても、
ここ最近ついぞ見かけなくなった。現代劇の少ない雷蔵はこのニュープリントで観ると肌が粗い
ことが判る。そんなこんだで映画的発見に満ち満ちて、楽しゅうございました。

ある殺し屋の鍵 [DVD]

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