映画和日乗

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「サヨナラCOLER」監督・竹中直人 at 十三第七藝術劇場

竹中監督第5作目。
この監督が不可思議なのは、第1作「無能の人」('91)以来、成熟した演出技術を保持し続けている
ことだ。成長も変遷もなく、最初からずっと極めて精緻で巧妙なのだ。
俳優出身の監督の特長のひとつなのかも知れない。
さて今回は、ある医師(竹中直人)の勤務する病院に、高校時代に憧れてやまなかった女性(原田知世)が重病で
入院して来るところから始まる。医師は必死で高校時代の話しをするが、女性は殆ど彼を覚えていない。
やがて彼女は不誠実な恋人(段田安則)を見限り、医師に心を開き始めるが…というお話し。
竹中の純愛一直線ぶりは彼の監督作品に於いて一貫している。今回もまた細かいギャグを積み重ねつつ、
愛嬌と哀愁を散りばめる演出も変化がない。いや、良い意味で。まるで小津のような頑迷さとでも言おうか。
後半、じわじわと泣かせる巧さにも素直に酔えた。佳作、おすすめ。次は監督に専念した「変遷」が見たい。

サヨナラCOLOR(スマイルBEST) [DVD]

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