北野武さんは辛いなぁ。大変なんだなぁ、という印象。前作「座頭市」('03)で、
請け負い仕事による娯楽ヒット映画をつくり、
次もまたそうであることを激しく期待されていることに加え、
最早「世界のKITANO」でキャスティングのしがらみやらヨーロッパの熱い視線やらをがんじがらめに
背負わされている…それら全てが重くて仕方がないので、えいやっ、とうっちゃったのが今作。
「重くて仕方がない」事柄がシーンの随所に散りばめられ、冷ややかな憎しみさえ感じる。
夥しい射殺が描かれても、まるで感情が動かない。
リアルな痛みを感じさせる暴力描写が彼の身上だったのが、それさえもうっちゃっている。
もう誰にも期待されたくない、自由につくって来たつもりでも、監督12作目、
ここまでで「北野ルーティン」が出来てしまった。そうではない、一旦バラしてしまいたい、
実は本当の自由はこの先だ、というメッセージに見えた。
期待に応えるべく疾走し、そして潰れた伊丹十三の対極、北野武。
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