映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「SEX AND THE CITY」監督マイケル・パトリック・キング at 109シネマズHAT神戸

サラ・ジェシカ・パーカーを初めて見たのは「マイアミ・ラプソディー」('95)だったが、このウディ・アレンに憧れまくって失敗した映画が、今思えば「SATC」の原型かも知れない。「マイアミ…」の監督デヴィッド・フランケルはサラと共にテレビに下って「SATC」を成功させ、「プラダを着た悪魔」('06)でスクリーンに復帰する。そしてサラにとっては満を持しての「SATC」映画版というキャリア・アップなのだろう。ウディ・アレン的知性を抜いたひたすら俗っぽい世界の展開は、そんな彼等の開き直りにも見える。監督がデヴィッドじゃないのは「プラダ…」で成功したからもうアレはいい…と断ったんじゃないかと推測するのは穿ち過ぎか。
上映時間が2時間を越えてしまうのは映画版スペシャル・ゲスト・アクトのジェニファー・ハドソンのエピソードのせいだろう。しかしこのジェニファーの存在感が圧倒的、輝きが違う。オスカー獲って次の映画がこれ、というのは冒険的選択であると同時にほかの女優との格の違いを見せつける結果となった。歌わないのかな、と思ったらラストにサーヴィス主題歌で溜飲が下がる。テレビ版と同じルックのキャメラは果たしてどうなのか、スクリーンだとどうにもチープな印象。
セレブに憧れる成り上がりねえちゃん物語、ちゃーんとラストで庶民にオトしてるとこがこの作品の人気の秘訣か。でも嫌いじゃないです、楽しかった。