映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「危険なプロット」監督フランソワ・オゾン at テアトル梅田

制服を導入する、と宣言する私立高校の職員会議から本当に最上のセンスと言っても良いタイトルデザインに流れ込む(これはラストシーンにも重なる)。原題は「dans la maison」、家の中で。
あまり予備知識無しに観た方が良いでしょう。これは才能についての物語。サリエリモーツァルトよろしく、凡庸な文学専攻教師(ファブリス・ルキーニ)と、彼が発見した文才のある16歳(アーネスト・アンハウアー)。
16歳の綴る「ある家庭」を巡る連続小説に周りが翻弄され、現実と小説(妄想)の区別がつかなくなっていく。
 とにかくキャメラと美術のセンスが超一級。教師の妻でこれまた才能のないギャラリー経営者(クリスティン・スコット・トーマス)もファッションセンスだけは良いのだ。ポランスキーの「おとなのけんか」('11)でもそうだが今の日本映画が100年かかっても追いつけないインテリアセンスの良さ。話しは脱線するが邦画の家庭のセットがどれもこれも使い回しているかのように同じような悪趣味で無味乾燥なのはどうにかして欲しいものだ。
閑話休題、後半ベタなテレビドラマのような進行になると観ているこちらが「これは幻想(小説)」と気がついてしまうのは玉に瑕、もっともそれはそれで笑えるのだが。
佳作、お勧め。

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