23分の短編。
タイトル通りに各家庭の親が子に「あした、授業参観行くから」と話しかけるエピソードの連なり。
父子家庭があり、母子家庭もある。裕福そうな家庭もあれば、そうではない家庭もある。裕福だからといって順風満帆ではない。親を恨めしそうに見る子もいれば、照れ臭そうな子もいる。来て欲しくなさそうな子もいる。
それぞれの家庭に現代社会が抱える問題を凝縮して描いている。
シングル家庭の苦労、貧困。各家庭を、同じセリフを話しかけているのにその反応の違いによって事情が見えてくるというユニークな視点。
学校の現場を預かる担任の先生(片岡礼子)は、彼ら生徒達と等距離で接しているように見え、特徴的な点は無い。彼女は英語教師で一人暮らし、年老いた母親が離れて暮らしている事だけしか伝わらない。
授業参観当日。それぞれ親はバラバラな生態を示し、ある事件が起きる。それには伏線があり、その事件は意外ではない。その延長にもう一つ、今の時代が見える終わり方。
長編の縮尺ではなく、各家庭の断片から(それは一人暮らしの先生も含む)人生を想像する鮮やかな短編。エンドロールで知る京都のロケセット、撮影照明どれも秀逸。
観終わって、もしこの学校に在留外国人の子がいて、親が本国にはない授業参観という行事に初めて参加したら、と思った。