映画的日乗

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「罪の手ざわり」監督・賈樟柯 at シネリーブル神戸

巨匠とされる監督達が悉く中国政府に「買われて」しまっている今、現代中国を描ける最も重要な映画監督の一人、ジャ・ジャンクー最新作。プロデューサーが日本人、資本も日本が入っていて中国を舞台とした合作、とも言えるが果たして本作が中国国内で上映されているのかどうか。
切り立った山脈に架かる建設途中の高速道、ジャ・ジャンクーらしい風景から始まるが、突如北野武作品を想起させる鮮やかな銃撃で盗賊グループが殲滅される。ここから始まる、一見無関係な4つのエピソード、そのうち3つが殺人で1つが自殺だ。資料によるとこの4つのエピソードはどれも実話を基にしているとのこと。
ジャ・ジャンクー作品の常連、趙涛(チャオ・タオ)が登場するとキャメラが悠然と動きを変え、何か敬愛を込めた特別なイメージが広がる。このチャオ・タオが金権と性欲だけの邪悪な男達を切り刻む刹那の外連味には身震いするほどの映画的感動を覚える。映画終盤、警察に自首した筈の彼女が就職面接を受けるシーン、何故なのだろうと不思議だったがどうやら情状酌量ということで刑を免除されていたのが真相らしい。これは後から知る事実で、映画では説明不足だろう。
どのエピソードも結局は拝金主義への告発なのだが、拳銃も猟銃もナイフも、そして車のボンネットに置かれた仏像も、哀しみを湛えて詩的で美しい。傑作、お勧め。


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