映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「オアシス」監督イ・チャンドン at 大阪十三、第七藝術劇場

 前科3犯、刑務所を出所してきたばかりの男(ソル・ギョング)は、直情径行な性格が災いし、家族からも疎まれ居場所がない。
ある日、自らが巻き込まれた「事件」の被害者の家を尋ねる。
そのアパートの部屋では引っ越し作業の真っ最中で、被害者の息子夫婦は新居へと去って行く。
 しかし、部屋には重度の脳性麻痺で話すこともままならない肢体不自由な女性(ムン・ソリ)がひとり、残されていた。
やがて男と女は惹かれ合うが、周囲の差別と冷遇に晒され過酷な運命を辿る…一昨年のベルリン映画祭で3冠に輝く映画なのに何故かくも地味に公開されているのかと不思議だったが、ハンマーで脳天を直撃される思いの衝撃の傑作だ。
時に観ていて辛くなるほどの愛のまさぐり合いに、これをつくることの出来る韓国映画界の勢いを実感した。
 日本では不可能だろう。まず演じることの出来る俳優がいない。じゃお前撮れるか、否、と自問自答してしまう。
 「冬のソナタ」は知らないが、これこそが正真正銘の純愛映画だ。
 ムン・ソリの演技を、日本の、いや世界中の女優は観なければならないと思う。
Must See.

オアシス [DVD]

オアシス [DVD]