1973年ATG作品。
大正-昭和と右翼、軍部の精神的指導者だった北一輝(三国連太郎)を、
彼自身の家を中心舞台に、2.26事件の「首謀者」として処刑されるまでを描く。
ATG作品として、極限の低予算という条件の中、北一輝と5.15事件、2.26事件の
関わりを家屋敷のワンセットで見せるという野心的な試み。別役実の脚本は
事件や時代を出来事としてのセンテンスで括ることなく、
時の流れの中での事件としては描かない。北一輝の思想と観念としてのそれ、を提示する。
吉田監督自身が「映像ではこれ以上無理だと思うと同時に、私の気持ちが萎えて行くのを覚えています」(ユリイカ'03年4月臨時増刊号のインタビューより)と語った程、異様なテンションの高さが画面いっぱいにみなぎっている。
吉田監督がこの作品の後、劇映画の次作を撮ったのは13年のちであった。
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