映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

「めぐり逢わせのお弁当」監督リテーシュ・バトラ at 元町映画館

インド、フランス、ドイツ合作。舞台は現代のムンバイ。
日本だと朝作った弁当を昼食べるのが一般的だがインドではランチタイムに家か食堂から会社へ運んでもらうシステムがある。弁当箱は使い捨てではなく、各人の私物で一様ではない外形(カバー)から届けられた人も間違うことなく受け取る…ということがこの映画から分かるのだが、偶々カバーが同じだったのか、ヤモメ男(イルファーン・カーン)がいつも食堂からデリバリーしてもらっている弁当と、ある家庭の主婦の手作り弁当が取り違えられてしまう。主婦は夫との関係が倦怠期で、何とか弁当の味で愛情を取り戻そうとしたのだが、弁当の味に感動したのは見ず知らずのヤモメ男。ヤモメ男は空の弁当箱に手紙をしたため、やがて弁当を介した文通が始まる…というお話し。
勤続35年、リタイア前の真面目なヤモメ男…黒澤明の「生きる」('52)を想起させ、倦怠期の主婦は成瀬巳喜男の「めし」('51)、繰り返される弁当と手紙のやり取りは小津的な反復とズレの映画文法。この監督相当1950年代日本映画を勉強したのではと想像。
電車内のシーンの後、電車の音を次のシーンにずらす手法も久しぶりに見た。
淡々とした小津や成瀬の感覚が心地よく、映画的な密度は濃い(煙草の使い方にも感心)。佳作、お勧め。



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