映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「ランド・オブ・プレンティ」監督ヴィム・ヴェンダース at シネカノン神戸

2001.9.11のアメリ同時多発テロから2年、監視装置を搭載したトレーラーに住む男、ポール(ジョン・ディール)はL.A.の貧民救済施設の近くでターバンを巻いた男が大量の洗剤を運ぶのを目撃、尾行と監視を始める。
一方、ポールの姪、ラナ(ミシェル・ウィリアムス)は、パレスチナからの旅を終え、この貧民救済施設で働き始める。
やがて、ターバンの男が何者かに射殺される…というお話し。
ポールは軍政府関係者なのだろうかと思ってたら、尾行活動は勝手にやっており、テロリスト撲滅を指向しているやや狂信的な愛国者であることが分かる。
その正体は、ヴェトナム戦争で従軍、負傷しそのトラウマで家族を遠ざけて生活しているという「戦争を辞められない男」。つまり、彼自身が「今のアメリカ」そのものであるというメタファーであり、そんな破綻した男にさえ優しい姪が「これからの世界」のメタファーなのである。深遠にして遠大な比喩に満ちあふれているが、
それでも寄り添う二人に甘さを感じてしまうのは、ヴェンダースらしからぬ説教臭さからか。いや、言わずにおれなかったか。
AG-DVX100による撮影がこの映画の有り様に合致している。製作費が知りたい。