映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「誰も守ってくれない」監督・君塚良一 at 東宝関西支社試写室

監督作品としては「容疑者 室井慎次」('05)以来の君塚監督最新作。監督デビュー作「MAKOTO」('05)の方がより作家性が強く、個人的には彼の'70年代邦画趣味には大変シンパシーを感じていた。が、今作では一転、ヒリヒリとしたヴィヴィッドなリアル感で迫って来る。
18歳未成年の男が、小学生姉妹殺害事件の犯人として逮捕される。犯人の家族は一瞬にしてプライバシーをはぎ取られ、怒濤のマスコミ攻撃に晒される。犯人の15歳の妹(志田未来)は、佐藤浩市扮する刑事によって保護される。ほどなく母親が自殺、ネットによって二人が隠遁している場所は次から次へとバレてしまう。刑事と少女は都内を脱出、あるペンションに逃げ込むが…というお話し。
襲って来るネット狂人達をステレオタイプと言うなかれ。没個性なステレオタイプである事自体が極めて現代的なのだ。構図を敢えて無視したHDキャメラの縦横無尽と、緻密な脚本の見事なマッチング。少女の「彼氏」、あの女性声の少年のなんとも気色の悪い非倫理、おもねることなく世代間断絶を描出することで作品の現在性を強靭なものとしている。
佐藤浩市柳葉敏郎はベストアクト。松田龍平好演、「イキガミ」の松田翔太といい、ここのところ松田優作の遺産兄弟が俄然良い。
傑作、お勧め。'09.1.24公開なのでお忘れなく。


浜村淳氏と邂逅。

能登の花ヨメ」宣伝担当のK.M.女史と毎日放送へ。A.T.プロデューサーと打ち合わせ。