公開直前、楽しみにされている向きも多いとのことで、詳細は伏せる。
キネマ旬報の7月上旬号の亀山千広P、脚本家君塚良一、本広監督の鼎談を映画鑑賞後に読んで、その製作過程から完成に至るまでの事情が画面に反映されていることを得心した。
「3」製作に至る動機として、現実の警視庁が「東京湾岸署」を設置したことが大きかったそうだ。
という訳でオープニングは湾岸署の引っ越し。その過程で拳銃が3丁盗まれる。とくれば黒澤明監督「野良犬」('49)がすぐに想起される、案の定犯人のハンドルネームは「野良犬」。更には旧湾岸署の掲示板に「生きる」('52)のポスター。これは黒澤明オマージュの強い君塚脚本、「生きる」の志村喬と本作に於ける青島刑事(織田裕二)の境遇が重なっていることにほどなく気がつく。プラスいくつかのアメリカ映画の影も見え君塚良一のシネアストぶりは相変わらずタランティーノばりに発揮されているが、君塚監督作品「誰も守ってくれない」('08)の延長線上にある現代日本の病理、若年層の幼児性と情緒の空洞化も盛り込まれている。
一方、閉塞空間でのドラマの展開に、細部に至るまで小劇場系の役者を配し、さながら「劇団・踊る大捜査線」の体となる演劇的演出。テレビドラマから続く長いシリーズだけにスタッフとキャストのチームワーク、アンサンブルが毛細血管のように行き届いていることが感じられて現場の熱気が伝わって来た。小栗旬好演。
7月3日公開。

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