映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「乱れる」監督・成瀬巳喜男 at 神保町シアター

新神戸駅よりのぞみ18号で東京駅着。

 1964年東宝作品。プリントは頗る美麗、東宝スコープの大画面。恥ずかしながら初見、スクリーンで見ることを切望していた。
富士山を臨む静岡県清水市が舞台。戦争未亡人、高峰秀子と義理の弟加山雄三の恋の道行きを描く。
語り口の巧さでは当代随一の成瀬演出、無防備なまでに義姉への思いをぶつける加山から離れようと山形の実家へ汽車で向かう高峰。客車の中に加山が現れ、みかんと週刊誌を手渡し、屈託なく見つめる。上野駅から乗り継いでもまだついて来る加山に遂に高峰が「降りましょう、次の駅で」と決心したように台詞を発する瞬間、演出と演技と台詞が奇跡的なほど完璧に共鳴し合う。今では考えられない緻密で豪華なセット、溜め息が出るほど傑作。

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