映画和日乗

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「オマージュ」監督シン・スウォン at パルシネマしんこうえん

映画『オマージュ』公式サイト

韓国の女性監督の苦労は実際の声として聞いている。

性と暴力のエンタティンメント、はたまた絵空事のラブストーリーではない企画はなかなか実現には至らず、冷や飯状態であるらしい。まぁ我が国でも同じだが。

本作の主人公たる監督ジワンも公開されているホラー映画が不入りで、仕事仲間と一緒にガラガラの映画館で自作を観ているところから物語が始まる。

ジワン監督役は「パラサイト」(2019)で印象的だったイ・ジョンウン。

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 監督、といっても家父長制の強い韓国では女性が家事一切を受け持たなければならない。

夫は働いているようには見えないし、息子はパラサイトそのものだ。

ジワンの一家は家計が逼迫、引き受けた仕事は1960年代の映画「女判事」の修復作業。

一部音声が無いのと、修復作業の過程で判明するカットされている部分の存在。

ちょっと林海象監督「夢見るように眠りたい」('86)を思い出す。

「女判事」という作品は実在するらしく↓これを読むとよく分かる。本編で描かれているエピソードは事実らしい。

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 ジワンがフィルムが残っているかも知れないと訪れる閉館した映画館が面白い。

電気が止められているが発電機で映写機を回していて、秘密裏にピンク映画を上映している。チラリとしか映らないが韓国製のエロ映画、昔あんなのあったなと思い出させる。

 ジワンのフィルム捜索過程で韓国映画界に於ける女性監督、女性スタッフがどんな位置付けだったのかが描かれていく。そしてジワンが感じる死者の声、死者の影のイメージが印象深い。

 結局「女判事」の修復は成し終えたのかどうかよく分からない終わり方でちょっと肩透かし。あんな何十年も放ったらかしにされていたポジフィルム、クリーニングだけでも大変な筈で、果てさて。

 ジワンの夫婦関係、親子関係もジワンの病気を契機として元通りというのもちょっと平凡。

 とまれイ・ジョンウンの「普通のおばさん」ぶりが楽しく、それだけで観ていられた。

生卵コーヒー、あんなのあるの?と思ってみていたが、あるって。

ブラック珈琲 に 生卵イン!させてみた。 | ピーピーひょろり。