映画的日乗

映画、食、人。西に東に。

第3回ソウル国際フード映画祭

関西国際空港よりOZ1135便でソウル金浦国際空港着。

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第3回ソウル国際フード映画祭会場に到着。スタッフは女性ばかりでウチの大学の学園祭みたいだぞ #ママごはんまだ #whatsfordinnermom #sifff #seoulinternationalfoodfilmfestival

 

フォーポイントバイシェラトンソウル南山にチェックイン。

「リンキング・ラブ」監督・金子修介 at 109シネマズHAT神戸

movie.linking-love.comロマンポルノ出身の監督でコンスタントに毎年映画を撮っている監督というと金子修介監督だけではないか。今風、に寄ることなくむしろダサいくらいの「昔ながらの味」というか切れ味はなくとも変わらぬ老舗の味といったところか。自らが自作「就職戦線異常なし」('91)を解説、エンディングにまで拘りの「自筆」が登場、軽やかな遊び心で楽しい。

その「就職戦線」の公開された時代、1991年が舞台。やはり今の人ってあの頃と顔が違う。単に幼いということだけではなく、ゴツさがない。バブル期は好景気であった反面、カテゴライズやヒエラルキーの確保を巡る争いの時代でもあったのかも知れない。あの頃のゴツさはその闘いの象徴で、今の子たちの確定されたカテゴライズとヒエラルキーの、そのくくりの中での「空気の読み合い」ではゴツさもギラツキも消えてしまうわけだ。そんな中樋井明日香という役者だけが最後まで「あの頃」感を湛えていた。

タイムスリップの整合性などどうでもよく、'80s日活風老舗の味を楽しむ。「理論が古い」という台詞に笑う。

 

「禅と骨」監督・中村高寛 at 元町映画館

www.transformer.co.jp禅宗の僧ヘンリ・ミトワの日米を跨ぐ一代記を記録と劇パート、更にはアニメーションを繋いで駆け足で見せ切る。色即是空空即是色なんのその、ミトワ氏は映画をつくりたいという我欲、今に生きず過去に生きるのだと疾走する。その深層心理には母なる国日本=理想の母親像が抜き差し難く沈殿している。家族は振り回され、自らの米国人としてのアイデンティティを頑なに守った長男以外は日本に強制移住させられ苦労する。中でも次女の父ヘンリへの反発は激しい。愛憎のパーセンテージは常に憎に振れている感じだ。ミトワ氏の戦前戦中時代は劇パートで描かれ、ミトワ氏に似たウエンツ瑛士が好演。脇をプロデューサー林海象ファミリーの俳優が固める。

戦前は日本でスパイと疑われて警察に尾行され、嫌気がさして渡米したら同じくスパイ扱い、戦中は日系人強制収容所へ。父の国も母の国も個人のアイデンティティを認めない時代を生き抜かねばならなかったのだ。そんな曖昧な自分の位置を確立させようと、彼は母の国に寄り添おうとした。しかしそれは妻や子のアイデンティティを揺るがす。

未来に興味はないと言う言葉とは裏腹に未来につくる「過去の映画」に拘る。自分を「撮れ」と言ったり「撮るな」と怒ったり。カメラは一人の人間が思い込みのまま生きる姿を追う。日米の距離や東京と京都という距離、93歳まで生きた長い人生という道のりがこの人の立ち振る舞いをかたちどってはいるものの、哲学はあまり見えない。ましてや僧侶としての悟りも、だ。それは高邁でもなく、卑俗でもない他人からすると「おもろいおじいちゃん」で、私には苦悩する次女の方によっぽどシンパシーを感じた。

「女神の見えざる手」監督ジョン・マッデン at TOHOシネマズ日本橋

misssloanemovie.com

アメリカの銃規制を巡る保守右派(または長老派と言うべきか)と規制強化派の攻防をロビイストと言う立場から描く。ロビイストはエリザベス(ジェシカ・チャスティン)。ただのやり手ではない。男社会に挑む気負いと言うよりは知性と野心で呑んでかかっているしたたかさ。食欲、性欲は合理的に処置し、そこに楽しみというものがない。脚本と演出が、このような人物が如何にして生まれたかというバックボーンはスパッと捨てている潔さが良い。どこから来たかわからない一匹狼が脳みそと口先一本でのし上がって来た迫力が凄まじい。保守派から規制派へあっさり鞍替え、保守派の攻勢と真っ向対決、かといって正々堂々ではなく勝つために手段を選ばないエリザベス、次第に周囲もついていけなくなる、保守派の作戦もエスカレート、遂にエリザベスは陥落。かと思いきや、という大どんでん返し脚本にはヤラレタ。そうか、そうくるかの映画畑ではないというこれが初脚本のジョナサン・ペレーラの類い稀なる技量に脱帽。

役者は全員素晴らしい。傑作、お勧め。

 

「八重子のハミング」監督・佐々部清 at 宝塚シネピピア

yaeko-humming.jp愛のかたちというものは様々で、出会いも別れも各々の記憶の奥底に沈殿している肌の温もりと労わりあう感情で支えられる、ということを描いている映画である。

こういうかたちになり得ることが、個人的には想像がつかない。ミヒャエル・ハネケの「愛、アムール」('12)を想起するが、あちらの方が私には得心が行く。が、「八重子」は事実の映画化であるという。高橋洋子が、アルツハイマーの症状が進行していく様を微細に演じていく佇まいは秀逸。若い時代から老老介護に至るまでの時間経過を違和感なく見られたのはメイクアップが見事だったから。撮影が13日間と聞いて、同じような境遇で映画をつくっている身としては製作費の想像がつくので身につまされる。

文音はお母さん(志穂美悦子)に似てきたなぁ。

 

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