映画和日乗

映画、食、人。西に東に。

                         

「大阪ハムレット」監督・光石富士朗 at シネリーブル神戸

大阪、南海電車の走る町。久保家の当主が亡くなり、その葬式から始まる。遺された三人の子供はどうも個性がバラバラで、母(松坂慶子)は同じでも父親が違うことが徐々に判って来る。葬式当日に転がり込んで来た「おっちゃん」(岸部一徳)がどうやら母の新しい男らしい。本音を胸にしまい明るく気丈に子育てをする松坂慶子のキャラクターが良い。大阪を舞台にネイティブではない監督が撮ると、過剰かつステレオタイプカリカチュアに陥ってうんざりするものだが、東京出身の光石監督は注意深くそれをすり抜け、三人の男の子たちの青春を丁寧に描く。松坂の妹(本庄まなみ)の葬式に実母(白川和子)が来ないのは謎だが、彼女の登場は「青春の殺人者」('76)を思わせた。加藤夏希好演、佳作、お勧め。